さて、今回はだまし行為に対して防御力を高める基本原則について学びます。今回ご紹介する基本原則は、
基本原則4.人は感情で動く
これは、「人は感情で行動をコントロールされる。」とも言えます。だます側は、あなたの感情を煽(あお)って、あなたの行動を巧(たく)みにコントロールして詐欺的な投資商品を買わせます。詐欺事例を学んで十分注意してもだまされてしまう理由は、この原則にあります。
投資詐欺は人の欲を利用してだますと思われがちですが、多くはあなたの「恐怖心」を利用して、あなたの行動をコントロールしてきます。人間の生存本能に働きかける「恐怖心」は強力です。「恐怖心」によりあなたの衝動的な行動(詐欺商品への契約など)を呼び起こすのです。人は「欲望」は抑えられても、「恐怖心」は抑えられないからです。
分かりやすく言うと、「『恐怖心』を煽る話は、全て詐欺。」と断言して良いです。
それでは、人の感情を巧みに利用して、行動をコントロールする具体的な例を解説します。
1.恐怖心を煽る:「引退までにXXXX万円貯めないと悲惨な老後になります。だから、この投資商品を買いましょう。」
これは、投資に興味の無い人を投資の世界に引きずり込む際に使われる言葉です。投資に関心が無い人を投資行動へ導く力が、この「悲惨な老後」という恐怖心を煽る言葉に隠されているからです。
こうなると冷静な判断は出来ません。この後は、詐欺的な投資商品を買わされます。もし、恐怖心を煽られていると感じたら、それは詐欺です。一度話を止めて、すぐに逃げるようにしてください。
同じように恐怖心を煽る言葉を列挙します。
- インフレで銀行預金は紙くずになる。
- 米ドルに対して日本円は紙くずになる。
- 年金では生活出来なくなる。
- 老後に病気をして医療費が足りなくなる。
- お金が無いと結婚できない。または、離婚することになる。
- 教育費が無いと子供の成績が下がる。不良になる。
- これをしないとあなたは仲間外れになる。
- 霊がついている。祟(たた)られている。このままでは地獄に落ちる。
いかがですか? よく耳にする言葉があると思いませんか? 事前にこれらの言葉は、あなたをコントロールするためのものと理解しておけば、衝動的な行動を少しでも抑えられるでしょう。
ちなみに、最後の言葉は冗談で入れた訳ではありません。投資の世界に限らず、恐怖心を煽って高額な商品を買わせる手口は共通しています。恐怖心を感じたら、「今の自分は冷静な判断が出来ない状態にある。こういう時は契約などせずに逃げることだけを考える。」と常に自分に言い聞かせてください。
結論は簡単です。これら恐怖心や不安を煽る言葉とセットになった売り込みは全て詐欺です。心を落ち着かせて逃げるようにしてください。絶対にその場で契約してはいけません。
2.欲望を煽る:「金持ちになるとこんな生活が出来ます。だから、・・・。」
投資に興味の無い人を投資の関心を持たせるために、もちろん人の欲望という感情も利用されます。こちらは、恐怖心を煽ってその場であなたをコントロールする場合と違い、より時間をかけてあなたをコントロールして来ます。
よくある例は、あなたを投資で成功した人(本物かどうか不明ですが・・・。)に会わせます。大きな家でのホームパーティーや高級車などであなたの欲を煽ります。それにより、今まであなたがイメージしていなかったお金のある生活を具体化させて、「もっとお金が欲しい!」という気持ちにさせるのです。
こうなるとあなたは「お金に対する欲」で、コントロールされています。勧められるまま詐欺同然の投資商品を買わされるでしょう。成功者を紹介するなどの言葉にだまされてはいけません。慎ましかったあなたを欲ボケにする作戦です。逃げてください。
なお、もしあなたがお金の話に対して、「欲望」とは違う「恐怖」に近い感情が出てくると感じた場合は、より注意が必要です。
その場合は、過去にあなたがお金で苦労した経験があったことを振り返ってください。あなたにとってお金の話は「欲望」を煽る話ではなく、過去に経験した「貧困への恐怖」を煽られる話となっている可能性があります。
その場合は、お金の話はあなたにとって衝動的な行動(詐欺的商品の購入契約など)を誘導する恐怖の話になっています。だまし行為への対応方法を身に付けるまでは、具体的な投資の行動は控えた方が良いかもしれません。「お金を守る」知識を身に付けることで、平常心でお金に向き合えるように時間をかけて準備してください。
3.劣等感を煽る:「あなたが抱えるその問題もお金で解決します。だから・・・。」
あなたの劣等感も行動をコントロールする際に利用されます。つまり、お金をかけるとあなたの抱える劣等感を解決することが出来る(本当にお金で解決できるのか不明ですが・・・。)と言い、それにより投資を煽ります。
恐怖心や欲望と違い、これらの言葉で刺激されるのは、あなたの「悲しみ」の感情です。あなたの劣等感の原因となった過去の悲しい経験が、あなたを衝動的な行動へと誘導します。
本当につらい感情です。しかし、だまされてはいけません。あなたの劣等感を煽るような投資案件は絶対に詐欺です。さらに、あなたの劣等感が、本当にお金で解決するかは誰にもわかりません。(「未来は誰にも分らない。」は、以前学んだ通りです。)
あなたの抱える問題を安易にお金で解決しようとしてはいけません。そのような考えは、だましにはまる特急券になります。落ち着いて、今は投資の話から逃げましょう。
いかがでしょうか。
とにかく、投資の世界で自分の感情を煽られてると感じたら、既に冷静な判断が出来なくなっていることを自覚してください。その場での衝動的な契約は絶対に控えてください。一度冷静になるようにして、その場から逃げるようにしてください。
皆様の安全で豊かな生活を応援します。