だましを見破る:基礎編(最終回)

今回はだましを見破るの基礎編の最終回になります。さて、今までだましを見破るための考え方を基本原則を軸にご紹介しました。現在のあなたは、「あれも危険、これも危険。一体何を信じれば良いのか・・・。」という状態だと思います。

そして、「統計データを信じればよいのか!」となっているかもしれません。しかし、残念なお知らせがあります。それが、基礎編最後にご紹介するだましを見破るための基本原則です。

基本原則5.統計データは嘘をつく

だまされないぞと身構えているあなたを簡単にだます方法が、統計データを利用しただまし行為です。人は、客観的データや科学的論拠という言葉に非常に無防備なのです。

警戒しているあなたを統計データを使うことで簡単にだませます。あなたをだましに誘導する結論。そして、その結論を導くために都合の良いデータを収集し、インパクトのある見せ方をするだけです。これであなたを好きなようにだませます。

では、統計データを利用しただましを見破るためには、どのような考え方をすればよいのでしょうか。基本は3つの視点で統計データを検証することです。

  1. データは正しいか?
  2. (データが正しいならば、)データから導かれる結論は正しいか?
  3. (データと結論の論拠は正しいならば、)結論が成り立つ条件に見落としはないか?

ただ、だましを目的に準備されたデータで説得された場合、現場で上記の順序で検証することは難しいかもしれません。

そこで、とりあえず統計データでだまされないためにあなたが意識すべきことは、「自分が理解できない、自分で検証できない統計データを安易に信じない。そして、分からなければ逃げる。」これを徹底してください。つまり、提供された統計データの正しさ、および、データと結論の関係、隠れた条件等に確証が持てなければ、契約などしてはいけません。逃げることです。

確かに長期視点でのインフレ予測(物に対するお金の価値が下がるとの予測)、長期視点でのインデックス投資の予測(長期的に株式市場全体は成長してきたので、株式市場全体に投資する商品は上がるとの予測)など、確からしいデータと結論と見えるものもあります。しかし、これら盤石に見える結論も条件付きであることを忘れてはいけません。詳細な条件についてはまた別途解説します。

統計データを使って未来を予測して投資商品を売りつける場面に出会ったら、基礎編(3)で学習した「基本原則3.未来は誰にも分らない」を思い出してその場から逃げてください。なお、統計データの読み方については、別途解説しますのでご期待ください。

確かに、投資の世界では、未来についてリスクを取って行動する必要があります。しかし、リスクをとる行動は、自分でリスクとリターンの大きさをバランスさせることが可能になって初めてすることです。投資初心者でまだリスクとリターンの適正値が理解できていない今は、理解できないことには投資せずに逃げることです。

投資で成功するためには、「早く始めることだ!」と言う人がいます。そんな言葉にだまされてはいけません。もちろん、理論的には早い方が良いが正しい面もあります。しかし、だまされないための準備をせずに投資を始めて、増やしたお金を根こそぎだまし取られたら意味がありません。

今ははやる気持ちを押さえて、だまされないこと・投資の原理原則を学びましょう。人生は思いのほか長いです。チャンスは常にあります。

それではここで基礎編でご紹介しただまされないための考え方の軸をおさらいします。

  • 基本原則1.人は自分の利益で動く
  • 基本原則2.良い話(投資案件)は、表に出ない
  • 基本原則3.未来は誰にも分らない
  • 基本原則4.人は感情で動く
  • 基本原則5.統計データは嘘をつく

いかがですか。だまされないための準備は整いましたか? 今回で「だましを見破る:基礎編」は一応終わります。次回からは、投資の原則について学びますが、だまされないための講座は今後も定期的に実施します。常にだましには気を付けてください。

次回からいよいよ投資の原則について学びます。ご期待ください。